東京都市大学オーストラリア留学プログラム (TAP)

東京都市大学
オーストラリアプログラム


レポート

REPORTTAP 留学中の学生による
特派員レポート

REPORT
2026.09.30
Vol.735
言葉の壁の外側にあるモノ
廣瀬 周介
デザイン・データ科学部 デザイン・データ科学科

言語とは必ずしも口を介するモノではない。もちろん、語学留学なのだから英語を駆使して積極的にコミュニケーションをとることは何も間違えてはいない。一方で、英語を介する以外のコミュニケーションもまた、素晴らしいものであると僕は考える。前回に引き続き雲をつかむような内容の文章になってしまいそうなので、今回は具体的な例をいくつか挙げようと思う。この文章を通して留学を控えている読者の方々の不安や懸念を解消できれば幸いだ。

とあるご縁からAFLの試合を観戦する機会に恵まれた。AFLはAustralian Football Leagueのことで、オーストラリアの伝統的なスポーツ。僕が滞在しているこの時期はその決勝大会が控えており、Perth近くの地元チームである『FREO』が決勝への駒を進める大事な試合が行われていた。スタジアムは満員で当然、となりには見ず知らずの人が座る。僕は当時、左隣はTCUの友人、右隣は知らない方(FREOのサポーター)が座っていた。試合が後半になるにつれて人々の熱狂はピークに近づく。もちろん、お酒もすすむ(僕達は飲む勇気がなかったが)。AFLは得点がバシバシ決まっていくのだが、FREOがゴールするたびに自然と現地サポーターの方とハイタッチをするようになった。そのうち、彼から話しかけられるようになった。最終的には選手の情報やFREOにかける熱い思い、美味しいミートパイの食べ方まで色々なことを教えてくれた。これは非常に素晴らしい体験だが、何も最初から英語で話していたのではない。今になって思い返してみれば、ハイタッチという一種のボディランゲージ(と多少のアルコール)のおかげでこの体験をできたわけである。

もう一つ。私はMUのキャンパス内にあるジムに通っている。ここではトレーニング器具の他に、フィットネスクラブなども開催されている。とある日、僕はキックボクシングクラスを開催したいという現地の方と知り合った。僕は日本ではキックボクシングを趣味でやっていたので意気投合、そのクラスに参加させてもらう運びとなった。メンバーの中には簡単な日本語を話せる方もいるが、ほとんどの学生は日本語をしゃべれない。一方で、コミュニケーションが発生しないかというとそうではない。互いに息を切らしながら休んでいると自然とグータッチをするし、キックが良いところに入ると笑みをこぼす。僕はこうした交流のカタチもある事を、ここ数週間で実感した。


 前回、僕は自分から進んで参加する重要性について記述したが、何もすべてが英語で成り立っているわけではないことをここに残しておきたい。日本人には日本人の、オーストラリア人にはオーストラリア人のコミュニケーションの取り方がある事は事実だろう。一方で人種や国籍、果ては言葉すら必要としない交流も確かに存在するのだ。