東京都市大学オーストラリア留学プログラム (TAP)

東京都市大学
オーストラリアプログラム


レポート

REPORTTAP 留学中の学生による
特派員レポート

REPORT
2026.04.15
Vol.711
折り返し地点から見直す成長の軌跡
藤本 櫂
メディア情報学部 社会メディア学科, Edith Cowan University Joondalup

みなさんこんにちは。オーストラリアでの留学生活も、気づけば折り返し地点を迎えました。出発前に思い描いていた留学像と、実際にここで過ごしてきた日々との間には、良い意味でも大きなギャップがありました。そして今、この「折り返し」という節目に立ってみて、これまでの経験を改めて見つめ直してみると、自分自身が確かに変化し、成長してきたことを実感できました。今日は、それらことについてお話ししたいと思います。

まず、前半の英語の授業を最後までやり切ったことは、自分にとって大きな一歩でした。最初の頃は、授業中に何を言われるのか理解するのに精一杯で、発言することなど到底できないと感じていました。周囲の学生たちが流暢に意見を述べる中で、自分だけが取り残されているような感覚に陥り、悔しさや焦りを感じることも少なくありませんでした。それでも、毎日逃げずに授業に向き合い続ける中で、少しずつ「伝えようとすること」の大切さに気づくようになりました。完璧な英語でなくても、自分の言葉で伝えることで相手が理解してくれる。その経験が積み重なるにつれて、英語に対する恐怖心は次第に薄れていきました。 そして、その過程で何よりも大きな支えとなったのが、共に学ぶ仲間の存在です。うまくいかない日も、互いに励まし合い、ときにはくだらない話で笑い合うことで、気持ちを切り替えることができました。

異国の地で感じる不安や孤独は決して小さなものではありませんが、「このメンバーでよかった」と心から思える仲間に出会えたことは、何よりの財産です。振り返れば、学力だけでなく、人との関わり方や支え合うことの大切さも、この前半期間で学んだ大きな成長の一つだと感じています。 そして、授業期間を終えて、いよいよ始まったセミスターブレイク。大変だった分、この休みで限られた時間の中で、充実した経験を最大限得ることを決めていました。その為、この休暇で僕は、メルボルン、シドニー、ブリスベン、そしてケアンズを巡りました。それぞれの都市での体験は、単なる観光を超え、自分の価値観を揺さぶるような深い学びとなりました。

まず、メルボルンでは、フリンダース・ストリート駅を訪れ、その重厚な外観と歴史に圧倒されました。19世紀のゴールドラッシュ期に発展したこの都市は、移民文化とともに成長してきた背景を持ちます。街中に広がるストリートアートやカフェ文化からは、「多様性を受け入れること」が都市の魅力を形作っているのだと実感しました。そして、この街での経験をより特別なものにしたのは、「人の優しさ」でした。現地に留学している従兄弟と合流し、共に街を巡る中で、単なる観光では得られないリアルなメルボルンの姿に触れることができました。異国の地で再会した安心感とともに、現地で生活する視点からの話を聞くことで、この街への理解はより深まりました。

さらに印象的だったのは、バスにスマートフォンを置き忘れてしまった出来事です。慣れない土地で連絡手段を失った不安は大きく、一時はどうなることかと思いました。しかし、そのスマートフォンを拾い、わざわざ届けてくれた方がいたのです。その方とは自然と会話が生まれ、その後、街を案内していただくという思いがけない交流へとつながりましたこの一連の出来事を通して強く感じたのは、言葉や文化が異なっていても、人と人とはつながることができるということです。教科書では学ぶことのできない「信頼」や「温かさ」を実感した瞬間でした。そして、メルボルンという多様性に富んだ都市だからこそ、このような出会いが自然に生まれるのだと感じました。

次に、シドニーでは、現地の生活や文化をより深く理解するため、主体的に行動することを意識しました。訪れたシドニー・オペラハウスやシドニー・ハーバー・ブリッジといった象徴的な場所は、オーストラリアの歴史と発展を体現する存在であり、そのスケールと背景に強い印象を受けました。その中でも特に印象に残っているのは、現地の人との何気ない交流です。食事を購入した際、店員の方が気さくにおすすめのメニューや食べ方について教えてくださり、そこから自然と会話が生まれました。このような小さな交流の積み重ねが、自分の中での英語に対する抵抗感を和らげ、コミュニケーションへの自信につながっていったと感じています。

また、ブリスベンでは、約10時間という限られたトランジットの時間を活用し、観光を行うという挑戦的な計画を立てました。時間的制約がある中で最大限に充実した経験を得るため、事前に移動手段や訪問先の優先順位を整理し、効率的に行動することを意識しました。その中で訪れたサウスバンク・パークランズでは、都市の中心にありながら自然と調和した空間が広がっており、短時間であっても十分にその魅力を感じることができました。人工ビーチや開放的な景観は、市民の生活に寄り添う都市設計の一例であり、「限られた時間の中でも価値ある体験は実現できる」ということを実感させてくれました。さらに、この計画を実行する過程では、移動時間の把握やリスクを考慮した判断など、自ら考えて行動する力が求められました。フライトに間に合うという前提のもとで観光を成立させるためには、常に時間を意識しながら柔軟に対応する必要があり、その緊張感も含めて非常に印象的な経験となりました。

最後に、ケアンズでは、グレートバリアリーフでの体験を楽しみにしていました。しかし、滞在中は天候に恵まれず、当初予定していたアクティビティの一部が制限されるなど、思い通りにいかない場面も多くありました。それでも、その状況の中で「できないこと」に目を向けるのではなく、「今できること」に目を向けて行動することを意識しました。天候に左右されない観光地を調べて訪れたり、現地の人との会話を楽しんだりと、限られた条件の中でも充実した時間を過ごすための工夫を重ねました。特に印象に残っているのは、自然環境の厳しさと美しさの両方を体感できたことです。天候によって表情を変える海や空の姿は、決して理想通りではなかったものの、その瞬間にしか見られない景色として強く心に残りました。また、こうした環境の中で過ごすことで、自然と向き合うことの意味や、その大切さについても改めて考えさせられました。

このように、この留学生活をここまで続けてこられたのは、現地で出会った多くの人々の存在があったからです。言葉も文化も異なる中で出会った人々との交流は、自分の視野を大きく広げてくれました。最初は不安だった「違い」も、今では新たな発見や学びとして受け入れられるようになっています。 折り返し地点に立った今、これまでの自分を振り返ると同時に、これからの自分に何ができるのかを考えています。この経験の一つひとつが、自分を形作る大切なピースであることを胸に刻みながら、残りの留学生活も全力で駆け抜けていきたいと思います。そして帰国する頃には、「この留学が自分を変えた」と胸を張って言えるような自分でありたいと強く思っています。