

オーストラリアプログラム

レポート
REPORTTAP 留学中の学生による
特派員レポート
今回で、パースから届ける特派員レポートも最後となりました。
私は高校生の時、一度オーストラリア・ブリスベンへ2週間の短期留学をした経験があります。当時は、初めて海外で生活すること自体が新鮮で、「英語を使って生活できた」「海外の文化に触れられた」という達成感が強く残っていました。しかし、今回パースで過ごした日々は、その時とは全く異なる経験でした。 高校生の頃の留学は、スケジュールや行動範囲がある程度決められており、「海外を体験する」ことが中心でした。一方で、今回のパースでの生活は、自分で考え、自分で行動しながら、「現地で生活する」経験だったと感じています。 授業へ向かうために電車やバスを使って移動し、買い物をし、休日の予定を自分で立て、イベントを探して参加する。毎日の小さな行動一つひとつを、自分で判断しながら生活していました。最初は、電車の乗り換えや英語での注文ですら緊張していましたが、生活を重ねる中で少しずつ自信がついていきました。
特に印象に残っているのは、何度もレポートに書いた通り、やはり授業での経験です。日本では「正しい答え」を求められる場面が多い一方で、パースでの授業では、「自分がどう考えるか」を問われることが非常に多くありました。都市や人間行動について考える授業では、自分の意見をその場で求められることも多く、最初は英語以前に、「自分の考えを即座に言葉にすること」の難しさを感じていました。 しかし、現地の学生は、文法の正確さよりも「意見を持っていること」や「積極的に参加すること」を重視していました。その姿を見て、自分も「間違えないこと」を気にしすぎるのではなく、「まず話してみること」が大切なのだと考えるようになりました。 実際に、最初の頃は発言する前に頭の中で英語を組み立てすぎてしまい、結局タイミングを逃してしまうこともありました。しかし途中からは、完璧ではなくても、とにかく自分から発言することを意識するようになりました。すると、現地学生や先生も自然に会話を広げてくれるようになり、以前よりもコミュニケーションを楽しめるようになりました。この経験を通して、「失敗しないこと」よりも、「挑戦すること」の方が大切だと実感しました。
また、Edith Cowan University Joondalupで開催されたJapan Festivalでは、リーダーとしてイベント運営に深く関わる経験もしました。準備段階では、メンバーとの連携や役割分担、当日の進行確認など、想像以上に考えることが多くありました。当日は、相撲や気配斬り、書道に着物、かき氷や抹茶、お団子といった日本食といった日本文化を現地学生に紹介しましたが、単に説明するだけではなく、「どうしたら興味を持ってもらえるか」「どう伝えれば盛り上がるか」を考えながら行動する必要がありました。 特に思い出深かった事は、自分から積極的に声をかけた時ほど、多くの学生が楽しそうに参加してくれたことです。当初は英語でイベントを回すことに不安もありましたが、実際には “完璧な英語” よりも、“楽しませたいという姿勢” の方が相手に伝わるのだと感じました。この経験は、自分の中で大きな自信につながりました。
さらに、パースという街そのものからも、多くの学びを得ました。休日にはKings ParkやElizabeth Quay、Subiacoなどを訪れましたが、どの場所でも、人々が公共空間で自然に時間を過ごしている姿が印象的でした。芝生で寝転ぶ人、友人同士でピクニックをする人、イベントを楽しむ人など、それぞれが自由な使い方をしていました。 また、都市やデザインについて学ぶ授業が多かった分、学んだ内容を、実際の街の中で体感できたことは非常に大きな経験でした。特に、イベントによる賑わいづくりや、歩行者中心の空間設計、車社会ならではの道路設計、自然との距離感などは、日本との違いを強く感じた部分です。以前よりも、街を見る時に「なぜ人が集まっているのか」「なぜこの空間は居心地が良いのか」を考えるようになり、自分の視点が変化したと感じています。 日本では、公園や広場が「通る場所」になっていることも多いですが、パースでは「滞在する場所」として機能しているように感じました。実際に自分も、イベントを調べて参加したり、何も予定がなくても街を歩いたりする中で、「人が過ごしたくなる空間とは何か」を自然と考えるようになりました。
また、ロットネスト島を訪れた際には、島全体を自転車で一周しながら、自然と観光が共存している空間を体感しました。車が少なく、自転車や徒歩を中心に島を楽しむ環境が整えられており、移動そのものを楽しめる空間になっていました。美しい海や自然だけでなく、「環境を活かしながら観光地をつくる」という考え方にも興味を持つきっかけになりました。
今回の経験を通して、自分は以前よりも大きく成長できたと感じています。英語力だけではなく、自分から行動する力、失敗を恐れず挑戦する姿勢、そして異なる価値観を受け入れる柔軟さが身につきました。 高校生の頃の短期留学が、「海外を知る経験」だったとすれば、今回のパースでの生活は、「自分自身の考え方や行動を変える経験」だったと思います。 このパースでの経験を、今後の学業や将来につなげ、さらに新しい挑戦を続けていきたいです。
最後に、これからTAPに参加しようとしている学生、迷っている学生、全ての学生に向けて、どうしても伝えたいことがあります。 留学というと、多くの人は「英語ができるようになる」「海外生活を経験する」といった“成果”を想像すると思います。もちろんそれも大切ですが、実際にパースで生活して感じたのは、それ以上に大きい変化は「自分の前提が壊れること」だということでした。 高校生の時のブリスベンでの2週間は、言われた通りに動き、用意された環境の中で“うまくやれたかどうか”を意識する経験でした。でも今回のパースでは、正解が最初から用意されていない場面ばかりでした。授業での発言、イベントでの判断、人との距離の取り方、日々の選択。そのすべてが「自分はどうするのか」を問われ続ける時間でした。 そこで気づいたのは、「できるようになってから動く人」はほとんど成長しないということです。むしろ、できないまま動いた人だけが、環境に押されるように変わっていく。英語が完璧でなくても、考えがまとまっていなくても、とりあえず前に出た瞬間にしか生まれない経験が確実にありました。
そしてもう一つ大きかったのは、「自分の常識が通用しないこと」に出会ったときの扱い方です。日本で当たり前だった“空気を読むこと”や“間違えないことを優先する姿勢”は、パースでは必ずしも強みではありませんでした。むしろ、自分の意見をその場で持ち、ズレていても表現することが求められる場面が多くありました。その違いに戸惑いながらも、少しずつ「正しくある自分」ではなく「存在している自分」をそのまま出す感覚に変わっていきました。
この経験を通して強く思うのは、TAPは「海外に行くプログラム」ではなく、「自分の前提を壊されに行く機会だ」ということです。そしてその揺さぶりは、怖さでもあり、同時に一番の価値でもあります。 だからもし今、不安の方が大きいなら、それはむしろ自然な状態だと思います。その不安を消してから行く必要はありません。むしろ不安を持ったまま飛び込んだ人の方が、現地で確実に変わっていきます。 大事なのは「準備ができているか」ではなく、「変わることを許せるか」だと思います。 TAPは、英語を学ぶ場所というより、自分の考え方や行動の癖を一度壊し、新しく組み直す時間でした。その経験は、間違いなくその後の人生の基準を変えます。 もし参加を迷っているなら、その迷いごと持って行ってほしいと思います。そこでしか得られない形で、自分の答えが変わっていくはずです。 後悔のない選択を。そして、その選択を「どう生きたか」という“自分の物語”にしてください。 応援しています。ありがとうございました。
| 1 | 2 | ||||||
| 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
| 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | |
| 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | |
| 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | |
| 31 |







